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【IT技術】【事例公開】中国国内のIT資産を国外に移転した事例

作成者: johnney|2020/03/11 0:00:00

こんにちは!

現在のところ、中国、韓国を中心に、新型コロナウィルスの感染が拡大しております。一部の企業の中には、中国からの完全撤退を視野に入れて本格的に行動し始めたところもあります。

今回は、中国からのIT資産の引き揚げを達成し、かつほとんどの業務をクラウド化した事例をご紹介します。

中国サイバーセキュリティ法の施行とその影響

中国では、2017年6月にサイバーセキュリティ法が施行されました。サイバーセキュリティ法とは、中国の安全保障や国家の体制維持のための情報統制や管理運用の厳格化を目的とした法律です。

https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/spneye/candr20016.html

この法律の細かい説明に関しましては、上記リンクを参照していただければと思います。この法律が施行された結果、中国国内におけるホームページやそのサーバが、中国当局によって管理・統制されるリスクがあるのです。

昨今、本法律の施行後はデータの国外移転のハードルが非常に高くなっているため、個人情報はもちろんホームページのコンテンツさえも国外に持ち出すのも非常に厳しくなってきています。

情報資産を守るために、中国国外への移転を実施

今回は、中国、ベトナムを中心に活動されている、人事・労務のコンサルティング株式会社、E様の事例を取り上げたいと思います。

E様は、サイバーセキュリティ法の施行 (2017/06/01) を踏まえ、中国国外に以下のIT資産を日本に移転させることにしました。

  • ドメイン
  • メール
  • ホームページ

では、具体的にどのような作業を実施したのか?を解説していきます。

中国からのドメインの移管

まず最初に実施したのが、アリババクラウド(阿里雲)で管理されているドメインを、日本の指定事業者に移管させることでした。

移管作業は、日本国内のドメイン移管と手順はほとんど変わりませんでしたので、技術的に大きな障壁はありませんでした。

流れとしては、

  1. 中国国外(今回の場合は日本)のドメイン指定事業者の管理ページでドメイン移管を申請。
    ※その際に、中国国内のドメイン指定事業者の管理ページで、認証コードの取得が必要になる場合があります。
  2. ドメインの移管を承認します。
    メールが届きますので、承認リンクをクリックするだけです。
  3. ドメイン移管時に必要な費用を支払い
  4. ドメイン移管完了

となります。

中国にあるネームサーバを、中国国外のネームサーバに変更

次に実施したのが、ネームサーバの切り替えです。

こちらは、中国国内にあるネームサーバを、日本にあるネームサーバに切り替える作業を行いました。

その際、事前に中国国内のネームサーバに登録されているゾーン情報を確認し、日本のネームサーバにコピーする作業も併せて実施しました。

メールサーバとWebサーバの移転

最後に実施したのが、メールサーバ(SMTP/POP)とWebサーバの移転でした。
こちらも、日本国内の移転と同様、データの引っ越し作業を事前に行い、データの引っ越し後にDNSを切り替えることで、作業が終了しました。

最後に

このように、技術的には日本国内におけるサーバ移転とほとんど変わりません。
ただし、現段階では、当局の指示に従ってセキュリティ評価を受けること、自社ネットワークの定期検査の実施、などを行う必要があります。

もし、中国国内のIT資産を、中国国外や日本に移転を検討されている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。